桃娘(トウニャン)と呼ばれる少女たちをあなたは知っているだろうか。
 一説によるとその歴史は中国が秦と呼ばれていた頃から存在するとも、はたまた近代の創作であるともいわれ、あるいは現代にまで密かに存続しているとも言われている。
 彼女たちは一種の性奴隷であり、売春婦である。
 ただ桃娘が普通の性奴隷と違うのは、赤ん坊の頃から桃のみを糧として与えられるという(異常とも言えるほど)徹底した食事管理をなされている事だろう。
 そうして育てられた桃娘の体臭はおろか汗に至るまで桃の香りがし、偏った食生活により糖尿病となってしまった少女の尿は甘くフルーティなのだという。
 世の金持ちはその尿や汗を回春の妙薬や珍味とし、好んで飲むらしい。
 そしてもちろん、性奴隷と言うからには男の夜の相手もする。
 しかし桃娘の初体験は、同時に最後の性交渉ともなることもしばしばだった。
 理由は単純明快。桃のみの食事で育った少女の身体が、セックスの激しさに耐え切れないからだ。
 桃娘の儚さはそれのみにあらず。人為的に糖尿病とされた桃娘のほとんどは、成人を迎える前に哀れな死を迎える。あるものは失明し、あるものは四肢を腐らせ、そしてまたあるものは――殺され、その肉を人に食われる。
 
 桃娘
 
 豪奢な寝具がおかれた薄暗く大きな部屋。
 スーツを着込んだ男が、ベッドに寝そべったままの老人の前に連れてきたのは、病的なまでに白い肌を持つ東洋系の美少女だった。
 きらびやかなチャイナドレスで着飾られ、長い髪の毛を編みこみ、白髪の老人へ柔らかく微笑む。
「お約束の、桃娘にございます」
「おお……これが噂の……」
 桃娘と呼ばれた娘を、男はそっと老人へと押しやった。
 桃娘はしな垂れかかるように老人の脇へと倒れ、その身を柔らかな布団へ沈める。
 とたん、老人の衰えた嗅覚に、ふわりと甘い香りが届いた。
「これは――本当に桃娘の体臭なのか? 香などではなく?」
「正真正銘、桃娘自身から発せられる香りにございます。……お疑いになられるようでしたら、桃娘から出される『妙薬』をご賞味くださいますことを」
「……うむ」
 老人が頷いたのを見て、男が桃娘へ目配せする。
 少女はそれで何を求められているのかわかったようで、半身だけを起こす老人の足をまたぎ、ちょうど自身の股間が老人の顔へ当たるようにした。
 そして桃娘はチャイナドレスの裾をまくりあげる。
「ほおぉ」
 下着すらつけていないそこから現れたのは、産毛がそよぐ処女の丘。
 少女がその割れ目を自らの指で押し広げると、中からは何者も手を触れていない薄桃色の肉壁が窺えた。
 老人はそこへ口を押し当て、鼻で大きく息を吸った。
「甘い……桃の香りじゃ……」
「まだ満足されるにはお早いかと。――さあ、お前のご主人様に最初のご奉仕だ。粗相はするなよ」
 男の呟くような命令に、少女は一瞬身体を竦ませるものの、その指示に従う。
 即ち――、
「――んっ……」
 ――チョロ……、チョロチョロチョロ……。
 響く水音。
 その発生源たる少女の割れ目からは黄金色の『妙薬』が、直接老人の口へと注がれていた。それを老人はたまる前から喉を鳴らし飲み込む。その表情に、尿を飲んでいるという嫌悪感はまるで無い。むしろ土気色の肌を僅かに赤く染め、とても美味そうにしていた。
 異常とも思えるが老人の反応は至極まっとうだ。何故なら桃娘の尿は、甘い。
 幼い頃から桃だけを与えられた少女は、尿までも桃の甘さと香りを備える。そしてその尿は不老不死の薬とも、回春の妙薬ともされ、また珍味でもあった。
 老人がそのうち何を求めていたか……男は知らない。知る必要も無い。ただ仕事の報酬さえもらえるならばそれでいいのだ。
 老人が一心不乱に喉を動かす様を見て、上気した桃の頬を持つ少女は身体を震わせた。
 それは果たして身体から逃げた体温を補おうとする反応なのか、それとも己の尿を他人へ飲ませるという背徳行為への快感なのか。
「は、ふぅ……」
 桃娘の熱っぽい吐息と共に、最後の滴が老人の口へ落ちる。
 老人は口からこぼれた少女の尿を惜しむように舐め取り、少女の割れ目にも年老いた舌を這わせた。
「もったいない、もったいない」
「あ、ひぅ」
 おそらくは刺激に慣れていないのだろう。少女は老獪な舌使いの前に、たちまち膝を震わせる。
 やがて、老人の舌に、尿とは違う粘り気のある液体が触れた。
「――ほう」
 老人はそれだけを呟き、なおもその舌の動きを増した。
 しわがれた腕は桃娘の薄く柔らかい尻をかきいだき、秘部がより顔に密着するように押し付ける。
「美味、美味。蜜まで桃か」
 当然だ。と男は自慢げに告げたかったが、それをして老人の興をそぐこともあるまい。
 桃娘ははぁはぁと荒い息使いで、下腹部に顔を埋める老人の頭を眺めていた。
 そしてまるで何かに操られるように、その頭を掴み、腰を前に突き出す。
「むぅ……!」
 老人のくぐもった声。しかし、それと一緒に蜜をなめとる卑猥な音も聞こえてきたので、特に問題はないようだ。
 いや、むしろ処女が己の技で快楽に溺れたようにも思え、老人の気分はよくなっている。
 しばらく――十数分の間だろうか、老人があきもせず桃娘の処女地を舌で愛撫していたのは。
 それが終わりを告げたのは、桃娘の身体の震えが長く小刻みになりだした、そのあと。
「あ、あ、あああっ!」
 耐え切れなくなったように桃娘は悲鳴で己の絶頂を告げ、幼い割れ目からプシッと淫猥な潮を吹いた。
 老人はそれを顔全体で浴び――自身に起こった身体の変化にようやく気付き、その顔を桃娘から離した。
「おお、勃った……! 勃っておる! こんなに硬く、雄雄しく!」
 老人はズボンを脱ぎ、そそりたつ老木を傍に立つ男に、そして立ち尽くしたまま快感の余韻に浸る桃娘へ見せつける。
「おめでとうございます」
 男は恭しく腰を降り、老人へ祝辞を贈った。
「うむ、うむ……これも桃娘の妙薬のおかげよ。こうなれば是非に、この娘の肉をも貪ってみたい」
「……それは結構な事でございますが、以前にお話したことをお忘れなきよう願います。桃娘の体は――」
「みなまで言わぬでもよい。確かに安い買い物ではないが、何、また買えばよいだけだ」
「は、出過ぎた真似を致しました。それでは、ご存分に桃娘をお召し上がりくださいませ」
「うむ」
 老人は未だ呆けたままの桃娘を布団の上へ押し倒すと、チャイナドレスを老人とは思えぬ力で引き裂いた。
 白磁の肌の上に乗る小さな桃色。それはうっすらと汗をにじませ、やはり甘い桃の香りを漂わせていた。
 ――かり。
 老人はなだらかな乳房の頂点を甘く噛む。「あぅ」と少女が軽く眉をしかめ、痛みとも快感ともつかぬ声を上げた。
 さらに老人はそれを口に含み、ちゅうちゅうと音を立てて吸いだす。
「……やはり乳はでんか」
「流石にそこまでは。申し訳ありません」
 男は苦笑し、老人へ頭を下げる。
「何、出たらもうけものと思った程度」
 ニヤリといやらしい笑みを浮かべた老人は、ついに少女の唇にかぶりついた。
「ん……」
 少女の鼻に老人特有の加齢臭が届く。しかし老人には少女の甘い芳香しか感じられていなかった。
 じゅぱちゅぱと水音を立て、二人は舌を絡め、唾液を交換し合う。
 そうしながらも老人は桃娘の尻を、陰核を、秘部を、胸を愛撫することを忘れなかった。
 やがて、頃合よしと見計らった老人は、ぼうとする少女の腰を抱き、自身の老木へと導いた。
 つぷ……と枯れた亀頭が、潤う処女の泉へと口をつけ、
「ひ、ぎぃっ!?」
 その純潔を、突き破った。
「おお、おお!」
 十何年ぶりになる挿入の感触に、老人は歓喜の声を上げる。
 対称的に桃娘からあがるのは快感とは程遠い、苦痛の叫び。
「ああ! ひぃぃう!」
 老人に跨る少女は痛みから逃げようと腰を浮かそうとする、が、どこにそんな力があったのか、しっかと身体を掴む老人によってその動きはただ腰を振るのと同義にされた。
「きつい、きついのう! やはり生娘はよい!」
「ひぃ! ひぃ!」
 少女は痛いということも出来ない。こぼれる涙は老人の口に落ち、桃の香りをいっぱいに広げた。
 そして老人が。
「うお、うおう!」
 最後に思いきり腰をつきあげた瞬間――長らく放たれることのなかった子種が少女の子宮へと注がれた。
 だが、それが芽生えることは終ぞ無い。
「――む?」
 ぐらりと、老人の上で腰を振っていた少女の体が、傾いだ。
 そのまま仰向けになって倒れこんだ桃娘の瞳孔は既に開いて、病的なまでに白かった肌は完全に血の気が引いている。脈も、無い。
「……やはり耐えきれんかったか」
「桃娘は儚いものにございます。故にこそ、人に妙薬を授けることも出来るのです」
「なるほどのう」
 老人は萎えた一物を破瓜の血と己の精液が混じった膣から抜き、男を見た。
 男は深々と腰を折ると、
「承知しております。それでは不肖この私めが、この哀れなる桃娘を用いて、御前のために腕を振るわせていただきます」
「うむ――期待しておる。しかし、身体を貪り、肉をも喰う。……よくよくわしも業の深い」
「何をおっしゃいます。桃娘はそのために生まれ育てられるのです。貪り喰らうことこそ、あれらの運命。貪り喰らわれることこそ本望であるのです」
 男はそう言って、魂なき桃娘の身体を、厨房へと運ぶのだった。
 
 了


 なんか短いし、人を選びそうな内容だしで表に出しづらくなったので、今までお蔵入りしてました。
 あと、目次にはなんかの拍子に知ったって書いたけど、桃娘をぐぐってみて思いだした。アルファルファモザイクの2chスレ紹介で知ったんだ、これ。
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